狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

狸系の目

始めの一歩

ここ数年、音楽と情報科学との係わりをあれこれ、とりとめもなく書き続けてきた。そもそも何をしたいのか、というレベルの話なので形もなにも無かったのだが、八回書き換えればいい加減に形が整ってくる。纏めと附録の目次を見ていて、これがそのまま具体的…

ちょっとした発見

催馬楽歌の五線総譜を見ていたら面白い事に気付いた。 催馬楽歌には九つの音を使う。このうち、補助的な音が二つ、臨時に使う音が二つ、残りの五つが正音として使われる。この九つの正音を五線譜に並べて音階が書いてある。 この九つの内、正音五つを並べる…

音楽文化の相互交流という夢について

信楽先生は文系でも理系でもない、双方に足を掛けた中途半端な位置*1にいる。こういう位置にいて音楽を知りたいと言っても、音楽について新しい事実を見つける能力についても、情報工学的な仕組みを作りだす能力についても、準備不足の感は否めない。では、…

音律計測の具体的なイメージ

伝統邦楽の声楽譜というと例えば次がある。 この譜は催馬楽歌ころもがえの出だしの部分で、「催馬楽朗詠墨譜集(薗広進監修、催馬楽・朗詠墨譜集、日本雅楽会、昭和54年8月)」より引用している。 慣れないと取り付く島もないので、日本音楽の入門的な解説書…

音律の測定に係わる三つのステップ

音律を測るという話は、最終的には、良い記譜法を求める話に繋がる。文字や図記号と同様、楽譜もそれ自身は図形(「インクのしみ」という言い方をされる事がある)なので、この図形を音楽と同一視するためには図形とそこから読みとられる内容との対応関係の…

音律を測定してみたい

音律という言葉は、ここでは、楽譜に書かれた音の実際の高さという意味で使っています。日本の音楽では、楽譜上は宮商角徴羽という五つの音が使われているように書かれています。ただ、楽譜は目安という位置付けにあるので、実際の演奏で聞く事が出来る音は…

情報民族音楽学の三分野

Seegerによれば民族音楽学は、音楽学、民族学と言語学との共通部分(※)にあるという。 情報民族音楽学は、音楽に関する資料を、印刷面及び書かれている内容の両面から検討し、読みやすい形に整理し蓄積する。この蓄積された資料を使って音楽の情報モデルを構…

アルゴリズムとソフトウェア

音楽をジャンルから独立した表現法-例えば波形なり、音の特徴パラメータなり-で表現してこれを基礎資料とする。こうすると、この基礎資料を使おうとする人は誰でも計算機プログラム(以下プログラム)を書かねばならないことになり、閾が高い。この事態を…

人文科学のための情報科学

前回から今日までの間に引っ越ししていた。ひと月なんてあっという間に経つ・・ 科学という言葉は自然科学の同義語みたいに感じるのだが、人文科学という言葉もあるから自然科学と同義語という訳ではないだろう。何かについて知ることには違いないにしても、…

科学と工学(新年の抱負)

あけましておめでとうございます。今年は酉年。ドライにならぬよう水を欠かさぬように努める酉年は・・酒年・・ そんなことはこっちに置いといて、と。抱負など。 筆者がかつて所属した学科には、情報科学科と情報工学科とがあった。学校にいたのはもう40年…

術語の薦め

言葉を不用意に使うと伝わる話も伝わらないと思うことがある。 例えば「クラシック音楽」という言葉は次のような意味1-3で使われている。 1) 狭い意味ではクラシックという言葉は1750年から1820年までの期間(クラシック期)を指し、この時期に作られた西欧…

曲の呼び方

信楽さんは見境なく音楽を聞くので、意外な曲を話題に持ち出したりする。まぁ、狸の縁で「証城寺の狸囃子、野口雨情作詞 、中山晋平作曲」ならまだ想定内として、「西野カナのトリセツ」とか「福山雅治の桜坂」を面白がっていると、それを見て意外に思う人が…

指揮者と指揮という言葉のもつニュアンス

もう訳語として定着してしまっている言葉について何かを語るのも今更だけど、指揮という言葉のニュアンスと、指揮者という言葉のニュアンスとは合っているだろうか? Wikipediaで指揮という言葉を検索すると、曖昧さ回避の頁に進む。ここには次の三つの言葉…

紙と鉛筆と出版を見直す

伝統邦楽の歴史は非常に長いこともあって、既に膨大な研究資料が蓄積されている。今更素人が手掛けてみた所で、思いついたキーワードを検索すると何件も文献がヒットする。だから、今まで情報民族音楽学という言葉で文書を作ってきて、何か方向性が違う感じ…

思うことは出来ても手で触れることは出来ないもの

なぞなぞみたいな表題を付けてみました・・で、答えは? いや、ここでは決して魔界の宗なんか出てきません。狸の巣だし・・; 冗談はさておき、答えを先に言うと、例えば円周率πがあります。 円周率は誰でも思い浮かべることが出来て、そういう数があること…

大旋律と小旋律

日本の音楽に出てきて最初はよくわからない用語の一つに、大旋律と小旋律というものがある。たとえば聲明(「せいめい」と読まれないための書き方。以下では声明とする。)の場合: 声明のメロディを伝統的な書き方で楽譜に作ると、音の高低は折れ線のような…

歌う詩人と書く詩人

だいぶ前に、ヌンミ(Nummi)の” Mutta kun olen runoniekka”という歌曲の詩を訳してみたことがある。原詩の出典は下記より。 トリオレコード フィンランド歌曲集(Stereo PA.1016) Matti Juhanni Piipponen (Tenor), Uute Starke (Piano) 歌詞カードとは別…

交易文明圏を巡る空想

手元に「メソポタミアとインダスのあいだ」(筑摩書房 (2015/12/14)、ISBN:4480016325)という本がある。AMAZONの紹介欄によれば本書の内容は次の通り。 >>大河の恵みを受け、メソポタミアには人類最古の文明が誕生した。そこは農産物こそ豊富だったが、木材…

序文が書けるか

何かを始める時の標語はなるべく大きく取っておくと、あとで細かい所が決まって来た時にも最初の標語の一部に収まる効果があるそうで・・ (落語の前振りみたいだ^^;)もっともあんまり大きく取ると、何を言っているのか判らない分読者の期待を外すことにも…

真実は星の数ほどもある

またまた大きな表題をβ(^^;)。 要はこんな話。真実と言ってもこの世界に係わる限りはこの世界の見方に依存するのだから、真実はこの世界と呼んだものの数だけあっても不思議はない。真実という言葉は、同じ世界を同じ見方で見ているかを確認するところから始…

真言声明譜と天台声明譜

また大きな表題をβ(^^;)。 要は、楽譜の書き方を比べてみると、それぞれの個性というか特徴的な部分と、それでも似た部分とが見つかるという話。 真言宗の声明の譜というと、全体的には折れ線で、マッチの軸木と言おうか、●から線分が出ている図形で始まる図…

日本音楽の音階とメロディ

自分ではまだよく判っていないことを書くのは気が引けるけど、日本音楽の音階とメロディについて一寸だけ。 日本の音階を五線譜に書くと判りにくいのだけれど、日本の音階を全分音符の白玉で書くと大切な要素が抜け落ちる。日本音階は音が五つで、下から宮、…

口伝の功罪

音楽であれもの作りであれ、実世界と直接関わりあう技芸を継承する場面では多かれ少なかれ口伝が必要になる*1。 西洋音楽では作曲の基礎的な部分にさまざまな書籍があってもそれは原則であり、具体的な曲には原則を外す部分がある。それでも楽譜があれば、原…

モデリングの情報科学

今ここで「情報民族音楽学」と言っているアイデアの原型はもう半世紀近く前、まだ学生だった頃にふと思いついた。当時は情報技術が立ち上がりつつあった時分で、要は何をやってもよかった。だからという訳でもないけれど、人文系と理工系とを横につないだ領…

人は変わり記録は変わらない

記事の更新をひと月ほどサボっていたら、去年の記事を振り返ってみませんかというお誘いがあって、ちょっと読み返してみたらこんなことを書いていた。 -はじめに歌があった http://y-shigaraki.hatenablog.com/entry/2015/09/16/053352 世界史的には上代歌…

スーパー歌舞伎

情報民族音楽学という案件については、これから新規に書き起こすより、今手元にある88頁分*1の書きものを改良することにした。そうすると、ここに書くことがなくなってしまう事に気づき、しばらく思案していた。結局、目に付くまま気がつくままにいろいろ書…

爺狸の昔話(じじたぬき)

爺狸がまだ豆狸だったころ、巣穴は箱根の山の東にあった。今から思うと想像もつかないのだけれど、海苔を天日に乾す工程を見たことがある。 こんな呑気な光景は小学校に入るまでの話で、入ってから出るまでの間はいい印象が全く残っていない。当時は生徒数の…

日本音楽と指揮者

まず手始めに次を読んでいる。 竹内道敬著、日本音楽の基礎概念=日本音楽のなぜ=、放送大学印刷教材(1996年3月) 14の何故と回答に1つの纏めがついている。今日読み始めて現在、6節の「日本音楽にはなぜ指揮者がいないのか」まで来ている。この節(53頁…

常識を補填しよう

少し前に情報民族音楽学ノートと言う全体で80頁強の資料を作った。構成は次の通り。 1章 序文 2章 採譜のための情報技術 3章 伝承のための資料として伝統邦楽譜を編集する技術 4章 既にある伝統邦楽譜資料からテキストデータを作成する技術 5章 永続的…

はじめに歌があった

かなり前のこと、フィンランド語でこんな作文をしてみた。 Alussa oli Laulu, ja Laulu oli Hengen kanssa, ja Laulu tuli Henkilöksi. 日本語ではこんな感じ。 はじめに歌があった、 歌は息(魂)と共にあった、 そして歌は人となった。 種明かしすると、こ…

DTMシステムとTeX

だいぶ前、まだ在職中に、Diagostini社のMy Music Studioを購入して、DTMシステムの実例を調べていた。使いこむ前に時間が経ってしまい、Singer Song-Writer(SSW)がV11になっていたり、OSが当時のVistaから7、今は10に更新するアイコンが窓の右下に出ていた…

声明譜について調べようと思っている

これから声明(しょうみょう)という日本の古楽を情報科学的に扱ってゆきたい。 声明は東大寺の大仏が建立された頃から日本に伝わり、日本の音楽の源流の一つと言われている。歴史の長い分、当然、既に研究成果がそれこそ山のように積まれているから、いまさ…

街で買える伝統邦楽譜

図書館から借りている「日本音楽との出合い」にうっかり書きこみ__φ(^ ^)メモメモ__を入れそうになって、直前に気がついて、慌てて実物を買いに出かけた。いつもの楽器屋さんで捜した範囲では、「よくわかる日本音楽」という本は見つけたがこれは既にあり、…

FM放送 現代の音楽 ペンデレッキ(1)

今日の放送では、ペンデレッキの初期の作品を四つ放送していた。 「放射(エマナツィオーネン)」 「広島の犠牲者のための哀歌」 「弦楽四重奏曲第1番」 「ポリモルフィア」 現代音楽はもっぱら放送で聞いていたので、聞いたことがあるにしてもはるか昔の話…

専門書マニア

今から思うと専門書マニアだったのかと思う位に、家にはいろいろな分野の本がある。 校生の頃に選択教科で音楽をとっていて、その関連で、作曲法教程*1とか、音楽芸術とかを読んでいた。こういう本にはたくさんの参考曲の譜が出ている。こういう曲を片端から…

FM-現代の音楽 (L. ノーノ II)

信楽さんは現代の音楽という番組を、バッハ作曲ウェーベルン編曲のパッサカリアをテーマにしていた頃から時折聞いていた。とはいえ、特に専門的な教育を受けた経験がある訳でもない。そんな事もあって思ったままを書くことには多少の躊躇があるのだけれど、…

FM-現代の音楽(ノーノ Ⅰ)

FM現代の音楽を今週も聞く。 今週は現代の音楽を聴く時間が出来たので、感想などを。 HPの解説に拠ると、今日の放送は次の通り。 7月5日と12日にはルイージ・ノーノ(1924-1990)を取り上げる。ノーノは戦後のイタリアを代表する作曲家であり、イタリア共産…

FM-現代の音楽(武満徹作曲賞受賞曲1)

NHK-FMで8時10分から現代の音楽という番組を放送している。最近は20世紀の音楽の流れを追って、ブーレ、シュトックハウゼン、ノーノ・・を放送している。20世紀の音楽というと、高校の頃はじめて買ったFMラジオで放送していたダルムシュタット現代音楽祭の録…

FM-現代の音楽(クセナキス II)

FM現代の音楽を今週も聞く。先週に引き続いて、クセナキスを特集している。NHKサイトから抜粋した今日の内容は次の通り。 司会は西村朗氏 楽曲は、「アクラタ」、「フレグラ」、「テトラス」の三曲。 西村氏によると、クセナキスの残した音楽の特色として、…

一言でいってそれは何?

情報民族音楽学というアイデアに拘泥していた期間、「一言でいってそれは何?」に納得のゆく答えを捜していた。自分がやります、と宣言するためには、ひと目見ただけで意味がきちんととれる標語を作りたい。有名な先生に弟子入りして標語を借りて、手取り足…

FM-現代の音楽

現代の音楽では、5月、6月と、20世紀後半に作曲されたいわゆる現代音楽を取り上げて放送している。今回と次回はI.クセナキスの作品を取り上げる予定。今回は次の4曲を放送していた。 第一曲 「メタスタシス」 第二曲 「ピソプラクタ」 第三曲 「アホリプシ…

Successive Musicology

“Successive Musicology”という言葉は信楽さんの造語で、Googleでこの言葉を検索してもまだ出てきません。この英語を日本語に直訳すれば「継承に関する音楽学」ですが、信楽さんはこの言葉を、「情報民族音楽学」という日本語の訳語として使うつもりでいます…

FM-現代の音楽

5月最後の日の現代の音楽は、黛敏郎氏の作品を特集していた。曲目は次のとおり。 1) 「新幹線の車内メロディ」 2) 「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」 3) 「オリンピック・カンパノロジー」 4) 「オーケストラのための“呪”」 5) 「BUNRAKU」 今日は少…

理系、文系と狸系

一寸前から情報民族音楽学ノートという文章を纏めていたが、今朝がた一段落した。もともと、情報学か、音楽学か、どちらかの領域に情報民族音楽学という区画を作って境界線を引く*1ことが目的だったので、文書が、経験の裏打ちのない言葉であふれる結果とな…

FM-現代の音楽 (2)

先週に引き続いて湯浅譲二さんがゲスト。とはいえ、信楽さんは現代音楽をかつてはよく聴きはしたが、専門的な訓練を受けたことはない。勢い何かを書くにも一般的な感想になってしまい、書き始めるところで立ち止まることになる。そこで、それなら開き直って…

真言宗のお勤め

信楽さんの年代になると、いつまでも(腹)鼓を打ったり法螺を吹いたり、気楽にしてばかりではいられない。お寺さんとどう付き合って、この頼りない生き様でも足跡を子供にどう言えばいいのかを本気で考え始める。そこでまずは泥縄式に、お寺さんで定番のお勤…

音符の代わりに曲線を書く

1968年というと、今から半世紀近くも前の事になる。その頃、音楽芸術という雑誌があって、今手元に68年12月号が置いてある。この号、附録にルネッサンス期のシャンソンの楽譜が付いていて特集がペンデレッキというとても面白い構成になっている。この号の20…

FM‐現代の音楽

FM放送、現代の音楽で、湯浅譲二さんの作品を特集していた。1960年から1970年代にかけては現代音楽が普通に放送されていて、音楽芸術誌と合わせてよく見聞きしていたので、久しぶりに、という気分で聞くことにする。 放送は5月17日午前、放送されていたのは…

わがよたれぞつねならむ

「いろはにほへと・・」は文として書くことが出来て、「色は匂えど、散りぬるを、・・」のように読むのだとか。濁点は書かないという規則を忘れると区切り方も判らなくなって、「いろはにほへと、ちりぬるをわか、よたれそつねならむう・・」のように覚えて…

似ているからといって油断はできない

何かの拍子で英語にはフランス語系の単語がたくさんあることを聞きかじって、「英語からフランス語へ」などという本を見つけると、勇んで始めて基本動詞の所で挫折することになる。ノーマンコンクエスト以降英語にフランス語系の語彙がたくさん入った事は事…