参考した資料はトリオレコード フィンランド歌曲集(Stereo PA.1016)の歌詞カードです。
早夜鳴き鳥は原詩では“satakieli”です。これ、直訳すると「百の舌」なので、「もず(百舌)」と訳してよいならそのままなのですが、そうではないらしい。”nightingale”はヨーロッパでよく知られている鳥で、ドイツ語でもそのまま”Nachtgal”と言ったと思います。その意味ではナイチンゲールという音訳でもいいかなとは思いますが、人の名前の方が有名なので、ここでは早夜鳴き鳥としました。
「早夜鳴き鳥の悲歌」というタイトルは、主人公が早夜鳴き鳥みたいに響くのですが、どうもそうではなく、「早夜鳴き鳥の鳴き声を聞くわが身を思うと」という内容のようですね。
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早夜鳴き鳥の悲歌
ああ、夏には君が、自分にも歌い続けてくれる。
早夜鳴き鳥の歌が聞こえる夜には自分も目覚めている。
早朝から黄金の糸を紡ぐ糸車を回す姿を見ると、
時も日も、流れを止めてしまう。
ああ、囚われの身、幸せな囚われの身、
兄弟たち‐オリンポスの神‐の声を聞きながら歩み、
雲に手を差し伸べ、地の花に口づけする。
空に昇りながら、早夜鳴き鳥には教会が見えている。
私にはもう日々のものではない、昼のものでも、夜のものでも。
けれども君は歌う、夏の季節には、早夜鳴き鳥。
君の歌は心の中でまだこだましている。
二つの黒い瞳、軽くカールした頭。
夏になると、君は私に歌いかける。早夜鳴き鳥。
Y. キルピネン
信楽訳