狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

採譜技術についての補足

音資料から採譜した資料を使って目標とする音楽に関する資料を作る手順は次のようになるだろう。もちろんここで言う楽譜は五線譜ではない。音階構成、音の持続、隣り合う音との繋がり、様々な特性を分析した音楽に合わせて書きたい。

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こういう仕組みを考える動機に次の事がある。

日常生活の場面で歌らしく聞こえて、五線譜に書こうと思うとそうは簡単でないものがある。例えば

「金魚~ィ、金魚~」とか、

「<歌唱調>石焼~き芋ォ、焼き立て</歌唱調>、

<語り調>ホックホク、早く来ないと行っちゃうよ、ゆっくりィ来ても待ってるよ</語り調>」とか。こういうものを五線譜にとると、単純になり過ぎるか複雑になり過ぎて、なかなかイメージ通りの譜にならない。こんな経験は、鳴り物入りの演芸などでも出会う事がある。

 

上の図はごく大雑把にいえば、音の高さを書いたグラフをそのまま楽譜にするという案を書いている。案を書いただけで実証していないので、グラフが楽譜として読めるかどうか、使いやすいかどうかなどは、何かを作って実証することになる。その時の見取り図というつもりではいる。

 

こういう話はまず趣味的な所から始めるのがよいのだけれど、伝統邦楽に限らず、音楽については知っているようで知らない事も多いとも思われるので*1、まずはありのままを書く所から始めてみたい。技術と音楽という対比で言えば、何を考えて何をやったかについてきちんと書いておくと、その書きとめたことが音楽資料としても価値をもつようになるのではという期待もある。

*1:音楽辞典で牽くと、オペラの歌にはアリアとレシタティーヴォという区別がある。このうちアリアが歌のイメージに合い、レシタティーヴォはどちらかというと朗読に近い。朗読と言っても、読む調子で上演するものから歌う調子に近いものまであって、声の表現と見ると多様性がある。オペラの世界では歌が主体で、語りは従属的な位置づけに見える。このアリアとレシタティーヴォの対比を、無理を承知で伝統邦楽に当てはめると、伝統邦楽ではアリアでなくレシタティーヴォ アッコンパニヤート(歌に近い方)を歌いの中心に据えているように見える。西洋式の歌の特徴を伝統邦楽がもっていなくとも、違うものを比較するからそう見えるのだ、という理解もできそう。