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狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

FM放送 現代の音楽 ペンデレッキ(1)

今日の放送では、ペンデレッキの初期の作品を四つ放送していた。

「放射(エマナツィオーネン)」

「広島の犠牲者のための哀歌」

弦楽四重奏曲第1番」

「ポリモルフィア」

現代音楽はもっぱら放送で聞いていたので、聞いたことがあるにしてもはるか昔の話(1968年頃)のこともあって、この四曲はほとんど今回初めてに近い。以下、印象を書いてみる。

 

1.「放射(エマナツィオーネン)」

聞こえる印象では曲の作りは、クラスターのような持続音ではなく、リゲティの「アトモスフェア」のような小さな音形の積み重ねでもなくシェーンベルクの「色彩」(五つのオーケストラ小曲の第3曲Farben)のように、細かいメロディを時間的に様々なタイミングで並べたような音。

 

2.「広島の犠牲者のための哀歌」

この曲は現代音楽の放送が盛んだったころに一回聞いていて、今回は二回目になる。ある意味時間を置いて聞きなおしたような経験をした。楽譜を見ると、半音あるいはより細かい音程で積み重ねた音が黒い帯で書いてある。いわば、黒い一反木綿が乱舞しているような譜。

この黒い一反木綿は、個々の楽器にとっては持続音にあたり、折れ曲がったり縮んだりして形が変わるまでの区間、一つの音符のように響く。一反木綿を一つの音符として聞いてしまうと、音色自体は新鮮でも、一つの「音符」の中では音色の変化に乏しいようにも思えた。

 

それはともかく。

 

音楽のタイトルが変わる事はよくあるが、「広島の犠牲者のための哀歌」も、原題が「哀歌」であり、「広島の犠牲者のための」は後で追加されたと聞いたことがある。信楽さんはこの辺の事情は知らないのだけれど、今、単に「哀歌」で検索すると、いくつかの項目が見つかる。中には旧約聖書、「エレミアの哀歌*1」のように、ある世界では広く知られているものも含まれている。タイトルの変更は、表現したい内容と、タイトルから聴衆が連想するだろう事との関係を考慮した結果なのだろうか。

 

3.「弦楽四重奏曲第1番」

弦楽四重奏と言いつつ、脇に打楽器があるのではないかと思わせる曲。この曲の譜も一種独特で、打楽器的な部分では黒玉がない(白玉も)、棒と旗だけの音符が並んでいる。弦楽四重奏という範疇からは想像できない音が聞こえてくる。ただ、打楽器+弦楽器の曲だと思うと、それなりに聞こえてしまう。

 

4.「ポリモルフィア」

この曲の譜は、五線譜に(一反木綿ではなく)脳波のような曲線が書いてある。楽譜しか見たことがなかったので今までどういう音になるのだろうかと思っていた。今日の放送では、たくさんの人が集まって思い思いに声を上げているように聞こえる。シュプレヒコールというと労働運動につきもののように思えるけれど、ドイツ語ではSprech Chor (語る合唱)という意味になる。「ポリモルフィア」のある部分は、ドイツ語の意味での語る合唱にも聞こえる。ポリモルフィア (Poly-morphia)にはたくさんの形という意味があるが、終了時点で突然ハ長調の主和音が聞こえてこれで終わる。

*1:預言者エレミアがバビロニアによるエルサレム炎上と、それに続くイスラエル人のバビロニア俘囚を悲しんで綴ったという言い伝えがある。