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狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

妥協しない再現

もう数年前になるが、街の楽器店で催馬楽・朗詠墨譜集*1を見つけて、何かの役に立つこともあるかと思い購入した。仕事で複合文書技術にも多少の引っかかりがあり、人文系情報技術の分野でのSGML利用についても多少は知っていたので、催馬楽・朗詠譜のSGML表現などというものがどこかに引っかかっていたのかもしれない。

 

タイトルに墨譜とある通り、催馬楽・朗詠譜は筆と墨による手書き文書として作られている。ちょっと考えれば気がつくことだけれど、こういう文書を電子化する際には、文字や図・記号が同じなのか違うのかを判定することが必須条件でありかつ難しい。このあたりのむずかしさは、文字に限ってみても、包摂規準の作り方でいろいろな議論がある*2

 

ともあれまず、Wordの機能を使って催馬楽譜の頁を真似てみた。その結果、こんな問題にぶつかることになった。

1) 図・記号の包摂は必須。関連して、

2) 構成要素の名前づけの方法を決めることが必須。

催馬楽譜を見たことがあれば、問題は、ここで図・記号と呼んでいる、言葉の抑揚を表す折れ線状の図式とこの折れ線を構成する線分とについての話で、問題は、線分の標準的な形とその形がもつ名前とを決めること、と判るはずなのだけれど、催馬楽譜を見たことがないと何のことか判らないかも・・ということで、次に一部を示す。

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この譜の形から見て、この譜を妥協なしに再現しようとしたら、標準的な複合文書技術で受け止められるかどうか危うい感じがする。単に頁の形を再現するだけなら頁単位にイメージデータを作ればいいが、録音から採譜した五線譜と比較してみようかなどと思い始めると譜の構成要素一つ一つを指し示したくなる。

まあ自分は、譜の中身に立ち入った話ができるほどには詳しくないことを考えて、標準的な複合文書技術でまず受け止めてみて、受け止めきれない箇所をどうするかを考える。こういう立場に立てば、催馬楽・朗詠譜に関する調査を続けることもできそうかな。

もっともこれをするにも、まともに考えると次が要ることになる・・;

1) 楽譜の要素記号を漏れなく重複なく数え上げて名前を付ける

(五線記譜法で言う楽典に相当する資料を作る)

2) 楽譜の要素記号から楽譜を組み立てる規則を取り出す

3) 音がもつ属性に関連して、楽譜の要素記号が示す基準を取り出す

妥協なしに何かをやろうとすれば、必ずどこかに壁がある。もっとも、「そこに山があるから」という話でもある。

*1:薗広進監修、催馬楽・朗詠墨譜集、日本雅楽会、昭和54年8月。なお、催馬楽という曲目は、雅楽の音楽理論に基づいて記録された当時の民謡だそうです。今風に言えば、五線譜に採譜した民謡のようなものか。この比喩が正しいかどうかはよく判らないが。

*2:漢字を含む符号化文字集合の規格票にいろいろ書いてある通り。