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狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

鎌倉散策

今週のお題「好きな街」によせて。

♪~源氏山から北鎌倉へ~♪なんて歌が流行っていた頃、本当にこのコースを歩いたことがある。辿りついたお寺の門に郵便箱みたいな箱があって、猫が門番をしていた。歌とはずいぶん雰囲気が違ってのんびりとした空気。これが気にいって、という訳ではないけれど、それから何度か鎌倉~北鎌倉周辺を散策していた。原則足のむくまま気のままに道を選び、それでも要所要所は抑えていたと思う。

紫陽花の季節には紫陽花を眺めつつわき道から丘に入って六国峠を経由して丘を下ると市街地に出る。大仏さんに詣でて、それから海岸にまわり、海岸沿いに歩きながら江の島に出る。

一人で散策していると気ままな時間が過ぎるのはいいのだけれど時に失敗することもある。天気があやしいけど傘があるし、コースは丘だから、と思って甘く見ていたら雨が下から降ってきて傘では防げないことがあった。鎌倉から歩き始めて、距離感を考えないまま歩いていたら一向に北鎌倉駅につかず、日が暮れて来た頃にようやく、北鎌倉を飛ばして次の大船駅に出たこともあった。

 

鎌倉散策が気にいっていた理由は、市街地と散策路とがほぼ同居していて、特に歩く準備をすることなく散策できたことがある。同時に、小学校の頃の経験が尾を引いて、対人関係に面倒なだけのことという印象をもっていたことがある。

小学校でクラス内の付きまといや嫌がらせは最近の問題と思われているようだけれど、なに、半世紀も前にもあって・・。小六の頃には一年間、登校時間中に不良二人に付きまとわれ、挙句に番長に面通しまでされて、中学より上でこのまま地元の学校に通っていたら、最近どこかであったような、使い走りで追い回された挙句のリンチ事件に巻き込まれていたのではないか。幸いそうはならなかったが、こういう経験が、地域や同じ世代に抜きがたい不信感を残すことは今でも思う。

 

そんなこんなで、プロファイルにふる里を書く時には、どうしても実在の地は書きたくないと思い続けて来た。ネタ的なセンスでは、信楽さんの巣穴は「信楽の里」に、と書きたいと思いつつ、これでは実在の地に似過ぎている。信楽八希の時から、なぞる名前の方が強すぎると結局、実在の名前に負けるのは仕方がない。それでも鎌倉散策のときのイメージを下敷きにして「信楽の里」のイメージを作るとこんな感じか。狸といういかにも日本的な生き物の名を冠するなら、巣穴の周囲には松林か竹林があって、風が吹きつけると枝が風で揺れて、竹籟か松籟が聞こえてくる。何故か近くには銀杏並木があって、黄葉の季節に歩くと、木漏れ日が銀杏の葉の色に染まって一面が黄金色に染まる。このあたり、きっと、ロマンチック街道あたりの旅行記がどこかで影響している。ただいくらなんでも、還暦過ぎていつまでも架空の地をふる里にしていても、という気はしているので、どこかに着地して終の巣穴にしたいとは思い始めている。

 

終の巣穴を立てるなら一番素直な場所は実際の故郷だろう。実際のふる里にはいろいろ引っかかるのだけれど、この狸腹がどんな嵐が吹いてもびくともしないほどにしっかり成長できていれば、一つの選択肢かなと思う。その時には狸腹を抱えて大笑いしながら凱旋するのも、腹を抱えて笑えるネタか。ただ、今の巣穴の近所にも、狸が出没する里山やら銀杏並木やらがあり、ここに腰を据えて先に踏み出すという案も堅実な道なのかもしれない。

 

そんなわけで、好きな街の決定版が決まるのはもう少し先になる。