狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

思うことは出来ても手で触れることは出来ないもの

なぞなぞみたいな表題を付けてみました・・で、答えは?

いや、ここでは決して魔界の宗なんか出てきません。狸の巣だし・・;

 

冗談はさておき、答えを先に言うと、例えば円周率πがあります。

円周率は誰でも思い浮かべることが出来て、そういう数があることは誰も疑わないと思うのですが、これがなかなか不思議な性質をもってまして・・・

 

その前に、自然数1、2、3、・・・ は指折り数えて確認できるから手で触ったも同然。

ゼロは方程式x = x の解。

マイナスnは方程式x+n=0の解。

有理数b/aは方程式ax=bの解。

無理数でも√2なんかは方程式x*x=2の解。

ということで、一部の無理数まで含めて、整数係数の代数方程式を書いてこの答えだ、と思うことにすると、方程式を書くという手数で数を捉まえることができるのだけれど・・

円周率については、どんな整数係数の代数方程式を書いても、根にはならないことが証明されている*1。πを定義する無限級数というものはあるけれど、これ、この形の項がここから先無限個続くよ、という省略記号に全てを押し込んでいるので、省略を許さず全ての項を書ききること、と言われたら困る。

 

この、「同じ形の項がこれ以降ずっと続く」という仮定は、数学のいろいろなシーンで現れる。便利なんだけど、その都度、手触り感がだんだん薄れてゆく。何かがずらっと一列に並んでいるときに、一つ一つ番号を付ける。先頭に0を付け、その後に一つ一つ、「前に続く数の次」という数字を付けると、並んでいる何かは一つだけ番号をもつ。

-0、0の次=1、1の次=2、2の次=3、・・・・

ここまではまだ判りやすい。自然数を使いきったらどうするかというと、同じ形で続けられるものを次のように作る。自然数はもともと0から始めて、その前の次、という形をもつ名前の集まりとして作ってきたので、0に相当するものとして{自然数}*2を取り、これにωという名前を付ける。で、次のように続ける。

-ω、ωの次=ω+1、ω+1の次=ω+2、・・・

・・・・・

以下、この形が延々と続く*3

 

何でこういうω={自然数}みたいなものを考えるかと言うと、例えば実数を便利にしたいからという理由がある。自然数有理数を詰めて実数を作る時に、有理数b/aを作るaとbの桁数に上限を付けたくはない。aとbの桁数に上限を置けば、「その桁数の最大数」の次の数はない事になるので、実数に隙間が出来て不便になる。桁数に上限を置きたくなければ整数と考えられるもの全て(が数え上げられることを仮定した上でその全体)を要素とする集合を置くことになる。ここで、考えられるもの全てを考えるという理想化を行った結果として、数は全て数え上げることができるという仮定とともに無限大が作り込まれることになった。

 

このあたり、人が思うことのできる像と手にすることができる像とのギャップを思わせる所がある。人が思うことのできる像は、理想化すればするほど、無限大が作り込まれることになる*4。誰かがやる案ならともかく*5自分がやるなら、円周率πのように名前で呼ぶだけ(数学公式ではそうする)なのか、円周率πの具体的な値を決めるように具体化するのかの区別は大切にしたい。

*1:超越数で検索してみてください。

*2:自然数の全体からなる集合

*3:基数

*4:例えばある作業で使える労力無限大、所要時間0、経費0。無限大の逆数は無限小あるいは0。

*5:それも無責任な気がするが。