狸系の里 シーズン2

はじめの一歩、二歩、散歩・・

地理B でムーミンが出題されて

地理Bでムーミンが出題されていろいろな反響があったようです。

もと記事は「センター試験地理「ムーミン」出題が話題 不正解受験生嘆き 公式ツイッター「反省」」

そこでこの記事をネタにちょっと雑談。

 

近代のフィンランドは、スェーデンの支配下にあった時代、ロシアの支配下にあった時代を経て、1917年に独立して今年がちょうど100年目になります。独立の時に言われていた次の有名な標語があります。

「われわれはスウェーデン人ではない。

ロシア人になる意思はない。

われわれはフィンランド人として生きる。」

(という内容をフィンランド語で)この標語は、この辺の国際関係を反映しています*1

 

フィンランドがロシアから独立するに際して、支配者として復権する目途のないスェーデン系フィンランド人の立場は微妙だったようです。とはいっても現在、フィンランドではフィンランド語とともにスェーデン語も公用語として扱われており、地名も双方で書かれています。

で、この辺を抑えないまま作者の名前T.ヤンセンを見ると、スェーデン人の名前(ノルウェー語はスェーデン語ととてもよく似ている)に見えてしまう、ということはあったのかとも思います。

 

それにしても、外国文学を日本語に翻訳するときに、もう少し原型に忠実な訳が添えられないものか、と思うことがあります。

ニルスのふしぎな旅」にしても、原題を直訳すると「ニルス ホルゲルソンの素晴らしいスウェーデン騎行」のようなものになり、乗って旅をする馬としての鵞鳥のモルテム、子供から青年への成長というすばらしい結末を暗示します。また、もともとは地理の副読本として書かれたようなので、それでスェーデン各地を旅行するという内容になっています。地理の副読本としてこういう内容のものが書かれている、という目で読み直すのも一興かと。

また、ムーミンというのは所有格形のはずなので、原型と内容とがどういうものかを手繰ると、原型を元に作者がどのような創作をしたのかが見えてくるのではないか、とも思います。例えば、平坦な地形のフィンランドで「ムーミン谷」がどこにあるのか、のような。

 

ともかく、こういう出題にぶつかった経験も、後で何かに役立てるきっかけにして、無駄なものにしない事が大切。

*1:因みに、フィンランドとロシアの国境のロシア側にはキリル文字で書かれたフィンランド語の地名が目に入ります。